自治体の広報・町おこしに変化の兆し
これまで「縁の下の力持ち」として支える役割だった公務員。しかし今、地方自治体では公務員自らが町おこしや情報発信(PR)を担う動きが広がりつつあります。
市民との距離感を縮め、魅力あるまちを育てるには、“住民に伝わる言葉で発信する力”が不可欠。その最前線に立つのは、他でもない自治体職員自身です。本記事では、公務員が主導する地域PRや町おこしの成功事例を紹介しながら、これからの広報行政のあり方を考察します。
なぜ「公務員が自らPR」するのか?
情報があふれる現代では、自治体のPRも“正確さ”だけでは届きません。心を動かす発信には、地域に根ざしたリアルな視点と、共感を生む語り方が求められます。
このような時代背景の中で、公務員が単なる事務処理者ではなく、自らの言葉で町を語る「行政広報パーソン」へと役割を拡張し始めているのです。限られた予算の中でも工夫を凝らし、住民とともにまちをPRする取り組みは、全国の自治体に広がっています。
公務員自らが関わる町おこし・PRの注目事例
これまで「広報」や「地域PR」は、外部の広告代理店や観光協会に任せられることが多い分野でした。しかし、昨今では自治体職員が“顔の見える行政”の担い手として、自ら発信を行う事例が全国で増えています。行政サービスの枠を超えた地域プロモーションや、市民と一緒に取り組むまちづくり。そこには、若手職員の自由な発想と、現場だからこそ見える魅力を生かした「等身大の発信力」が活きています。
以下では、そうした実践的な取り組みの中から、特に注目度の高い先進事例を紹介します。公務員の新しい可能性が見える、リアルな現場の声と工夫に注目です。
鯖江市「JK課」:女子高生と市職員が協働で発信
福井県鯖江市では、2014年に「JK課(女子高生課)」を設立。市職員と地元女子高生が一緒になって、まちの魅力を発信しています。公務員が企画運営をサポートし、若者の視点と行政の現場が融合したユニークな取り組みです。
市のSNS運用やイベント広報でも「中の人」が顔を出すなど、住民との距離感を縮める姿勢が評価されています。
✅ 参考記事 ▶︎ 鯖江市役所JK課プロジェクト|福井県鯖江市
福井県あわら市:「あわらる」で地域の魅力を動画発信
あわら市では、若手市役所職員が中心となるInstagram公式アカウント「あわらる」を運用中。今年度は広報アドバイザーに知名度のあるタレントが加わり、職員が企画・取材・撮影・編集・投稿までを全て自主的に行っています。温泉街やグルメ、カフェなどをショート動画で紹介するスタイルは、市民にも親しみやすく、地方PRの新しい形として注目されています。
✅ 参考記事 ▶︎ 市役所公式の人気アカウント「あわらる」新体制スタート!新メンバー加入でパワーアップ|福井県あわら市
長野県小諸市:職員手づくりPR動画が大反響
長野県小諸市では、市職員自らが脚本・撮影・編集まで手がけたPR動画「小諸がアツ・イー!」を公開。2017年には、わずか9,500円の制作費で公式YouTubeで6万回以上の再生を記録しました。
動画には職員が実名で出演し、“まちの中の人”としてリアルな声を届けたことが大きな反響を呼びました。
✅ 参考記事 ▶︎ 職員作成による作製費用を格安におさえた手作り動画|長野県小諸市
静岡県磐田市:職員YouTuberが市政と観光を発信
磐田市では「市の魅力を発信する公務員YouTuber」を2025年1月に任命。市役所職員が自ら出演し、観光地や地域資源、市政トピックをYouTubeでわかりやすく紹介することで、親しみやすさと発信力を両立する取り組みが始まっています。
✅ 参考記事 ▶︎ 【高校生が考えるまちの未来!】市内高校生が「若者ならではの視点」で磐田の未来を“本気で”プロデュース!|静岡県磐田市役所
埼玉県草加市:若手職員が“自治体職人”として広報刷新
草加市では、若手職員が広報紙の刷新やイベント企画、SNS発信など多方面で活躍。地域の子ども会立ち上げを支援するなどの実績が評価され、2024年には「公務員アワード」を受賞。地域の信頼を得た“顔の見える行政”が実現されています。
✅ 参考記事 ▶︎ 関東で唯一!280万人の頂点!地方公務員アワード2024を草加市職員が受賞|埼玉県草加市
キーワードで読み解く「公務員×町おこし」
上記の事例から見えてくる、共通のキーワードは以下のとおりです:
- 自治体職員が“顔出し”する信頼性
- 若者・地域住民との協働
- 限られた予算でも実現可能な工夫
- 双方向・共感型の発信スタイル
- 基礎的な動画編集やクリエイティブスキル
つまり、「公務員が自らPR・町おこしに関わる」ことは、地域に信頼と共感をもたらすだけでなく、自治体内部の職員意識の変革にもつながっているのです。
クリエイティブスキルを磨こう|地域の魅力を自ら発信する力を(PR)
自治体による町おこしや地域PRでは、写真・動画・SNSといったビジュアルコンテンツの活用がますます重要になっています。
地域を知る“中の人”である職員こそ、クリエイティブな発信力を身につけることで、自治体の広報力は大きく向上します。以下では、公務員にもおすすめの「動画編集・発信スキル」を学べる講座をご紹介します。
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これからの自治体広報に求められる視点
近年、公務員の役割は単なる行政手続きの担い手から、地域課題の解決者・プロジェクトの推進者へと変化しています。こうした変化に対応するためには、組織全体の改革だけでなく、職員一人ひとりの能力開発が不可欠です。
特に、ICTスキルや情報発信力、対話力、地域との協働力などの“実践的スキル”を持つ職員は、既存の枠を越えた活動で成果を出す傾向にあります。たとえば、SNSを活用して市民とつながる力、地域事業者と共創できる企画力、住民ニーズを的確に読み取るデータ活用力などが注目されています。実際に、草加市やあわら市のように、スキルのある若手職員が市の広報改革や観光振興をリードしている事例も多く、公務員個人の成長が自治体の魅力向上に直結するケースが増加しています。
今後、行政が限られた資源の中で成果を出すには、現場の職員一人ひとりが自ら学び、自律的に行動する“人材資本”の強化が鍵になります。民間企業で注目される「リスキリング」や「ウェルビーイング経営」の考え方も、公務の現場でますます重要になるでしょう。「人が育つことで、地域が育つ」。その考えのもと、公務員のスキルアップを支援する仕組みや風土づくりが、これからの行政運営に求められています。
まとめ:行政の枠を超える“伝える力”を公務員に
「公務員が自らPRや町おこしに関わる」時代は、もはや例外ではなくトレンドになりつつあります。市民に寄り添い、地域の魅力を共に伝えていく姿勢が、自治体の信頼と参加意識を高める大きな要因となっています。
顔の見える行政、共感を生む発信、住民との対話。それらを担う公務員自身が“まちの広報大使”になることこそが、これからの地方行政のキーワードなのです。地域のために動くすべての職員に、「伝える力」という新しい武器を備えるのはいかがでしょうか。