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公務員の離職率と転職動向|データで読み解く実態

公務員の離職率と転職実態を徹底分析!

公務員は「安定」「定着率が高い」といったイメージがありますが、近年、若手や中堅層を中心に離職・転職の動きが活発化しています。本記事では、国家公務員・地方公務員の離職率を最新の公式データで比較し、民間との違いや転職傾向の背景まで深掘りします。

 


 

地方公務員の離職率

職種令和3年(2021年)令和2年(2020年)令和元年(2019年)
一般行政職1.22%0.99%1.08%
教育職1.00%0.80%0.83%
警察職1.14%1.05%1.13%

特に20代では、一般行政職で2.27%、教育職で2.09%、警察職で3.25%と離職率が若干高くなる傾向があります(出典:スタディング)。

 

消防士(地方公務員)の離職率

地方公務員の中でも、消防士は若手層の離職が目立つ職種の一つです。令和3年度(2021年度)の消防職員における退職者数は以下の通りです(出典:令和4年版 消防白書)。

退職種別人数構成比
定年退職2,781人約58.7%
普通退職(自己都合)1,573人約33.2%
勧奨退職184人約3.9%

このうち自己都合退職者の大多数が35歳未満であり、20〜30代の若手消防士の離職が非常に多いことがわかります。

また、2019年度の調査では、全国の消防職員5,028人中、普通退職者は1,328人で、うち8割以上が若年層であったと報告されています。

 

国家公務員の離職率

国家公務員(一般職行政I)の離職率(辞職ベース)は以下の通りです。20代の離職率は概ね2~3%程度とされています。

年度全体20代
令和2年度(2020年)1.64%2.24%
令和3年度(2021年)1.81%2.65%
令和4年度(2022年)2.03%2.84%

2012年から2021年にかけて、離職率は1.7%から2.2%へと緩やかに上昇しています(出典:人事院白書)。

 

自衛官(国家公務員)の離職率

国家公務員に分類される自衛官もまた、特有の勤務環境から離職率が高めの職種です。以下に主なデータを示します。

  • 2021年度に中途退職した自衛官は5,742人で、前年比約35%増(出典:防衛省発表資料)。
  • 新規入隊(特に高校卒業後)の任期制自衛官では、1年以内離職率が約20%、3年以内では約40%に達するとされます。
  • 自衛隊幹部候補生などキャリア組でも、30代前半の離職が比較的多く、組織内での将来像が描きづらいことが要因とされています。
  • 一部の報道やOBの証言によれば、入隊後10年以内に約半数が退職するという実態もあります。

自衛隊の業務は身体的・精神的負荷が高く、民間への転職や退職後のキャリア形成に課題を抱えるケースも少なくありません。

 

民間企業の離職率との比較

年度一般労働者パート全体
令和4年(2022年)11.9%23.1%15.0%
令和3年(2021年)11.1%21.3%13.9%
令和2年(2020年)10.7%23.3%14.2%

厚生労働省「雇用動向調査」によると、民間の離職率は全体で10〜15%、若年層ではさらに高くなるのに対し、公務員は2%前後と圧倒的に低い水準です(出典:厚労省)。

 


 

若手職員の離職増加の現状と背景

地方公務員の若手離職急増

総務省によると、地方公務員の自己都合退職者(一般行政職)は令和4年度に12,501人と、平成25年度(5,727人)から2.2倍に増加しています。また、40歳未満職員の離職数も全国的に増加傾向です(出典:総務省)。

国家公務員総合職も「若手離職」が最多に

  • 令和2年度の総合職採用者(10年未満在職)の退職率は10.0%、平成25年度比で約5ポイント上昇(出典:人事院)。
  • 令和2年度の総合職退職者数は109人で、平成25年度比+43%(出典:人事院)。
  • 令和3年度の人事院アンケートでは、30歳未満の「数年以内離職意向」は男性13.5%、女性11.4%と報告されています(出典:人事院)。

若手の“3割転職”は本当?30歳までに40%が辞める?

転職エージェントの情報によれば、地方公務員の25〜29歳の離職率は約25%、30歳までに約40%が公務員を辞めているとの指摘もあります(出典:公務員転職エージェント)。

 


 

主な離職・転職の「原因・要因」

組織文化・年功序列の硬直

旧態依然とした職場構造、実力が反映されにくい制度への不満が高まり、若手の離職理由のひとつとなっています(出典:総務省・転職エージェント)。

職場環境・ワークライフバランス

地方では時間外勤務月45時間超の職員割合が上昇し、業務と待遇の不均衡感が離職を促しています(出典:地方公務員調査)。

キャリア形成・自己実現

「異動先が不透明」「業務内容に不満」「将来のキャリアパスが描けない」といった点が離職理由として頻出します(出典:転職エージェント、厚労省)。

転職市場の活性化と若者価値観の変化

民間の転職市場が活発化し、若手は安定よりも自己実現や柔軟性を重視するようになりました。その結果、公務員の早期離職も進んでいます(出典:人事院・転職エージェント)。

 


 

公務員からの転職:実態と傾向

転職先はどこ?

一時的に行政や自治体に出向するケースもありますが、特に転職先として多いのはIT企業、コンサル企業、教育ベンチャーなど、社会貢献性と成果報酬の両立が求められる職場が人気です(出典:転職エージェントレポート)。

転職成功者の声

「努力が昇進に反映されない年功序列から抜け出したい」「旧態依然ではチャレンジできない」

— 元公務員転職希望者

こうした声が転職を後押ししている背景には、“やれば評価される”環境への希求があります(出典:転職エージェント)。

 


 

離職を防ぐための施策とキャリア戦略

官民双方で進む施策・環境整備

  • 働き方改革:人事院や各府省では複業やテレワークなど柔軟な働き方を推進中(出典:人事院)。
  • メンター制度・心理的安全性の整備:直属上司との関係を重視し、若手の離職意識を抑制する取り組みが進んでいます(出典:人事院)。

 

個人のキャリア戦略

  1. 自己分析:公務員として培ったスキルや価値を整理し、民間で活かせる要素を明確化。
  2. 情報収集:業界・企業研究、転職エージェント、セミナーなどを活用。
  3. 経験の蓄積:副業・NPO・起業など“小さな挑戦”を通じて実績を作る。
  4. 見極めのタイミング:30代前半を目安にキャリアの分岐点を意識した判断を。

 


 

まとめ|今後の転職・離職動向とあなたの選択

  • 全体として、公務員の離職率は2%前後と低水準。
  • 一方で、国家・地方ともに若手離職が増加傾向。
  • 主要因は硬直化した組織文化・ワーク環境・キャリア形成不足。
  • 転職先としてはIT・コンサルなど成果志向の企業が人気。
  • 施策面では制度改革、個人面ではキャリア意識の向上が鍵。

もしあなたが「安定」と「自己実現」を両立させたいと考えているなら、今こそ自分のキャリアを見つめ直すタイミングです。本記事がそのヒントになれば幸いです。

 


■データ出典: