国家公務員の兼業規制緩和が示すもの
人事院は、国家公務員の兼業規制を2026年4月から緩和し、趣味や特技を生かした自営業を認める方針を発表した。
手芸品販売やスポーツ・芸術教室、地域イベントの主催、高齢者支援など、公務に支障がなく国民の信頼を損なわない活動が対象となる。希望者には開業届や事業計画の提出を求め、各府省庁が承認する。これまで認められていた兼業は不動産賃貸など限定的だったが、アンケートでは約3割が兼業意欲を示しており、人材確保や離職防止につなげる狙いがある。
国家公務員の兼業規制緩和が示すもの
―「禁止」から「条件付きで活かす」時代へ
2026年4月から、国家公務員が趣味や特技を生かした自営業を行えるようになる。
この制度変更は、単なる副業解禁ではなく、公務員の働き方・キャリア観そのものの転換を示している。
示唆①:兼業は「黙認」ではなく「制度として評価される」時代に
今回の制度では、開業届や事業計画の提出が求められ、各府省庁が正式に承認する仕組みが取られる。
これは、兼業がグレーな個人活動ではなく、公務に支障がない限り“公的に認められる活動”になることを意味する。
今後は「やってもいいか」ではなく、
**「どう設計すれば認められるか」**が問われる時代になる。
示唆②:求められているのは“小さく、健全な自営業”
想定されている兼業は、手芸品販売、教室運営、地域イベント、高齢者支援など、
いずれも スモール・ローカル・社会性のある事業 だ。
これは、公務員に対して
ハイリスクな起業
急成長を狙うビジネス
ではなく、生活や地域と地続きの活動が期待されていることを示している。
示唆③:人材確保・離職防止が本音の狙い
人事院の調査では、約3割の国家公務員が「趣味・特技や社会貢献分野での兼業」に意欲を示している。
また民間では、兼業容認が採用や定着に好影響を与えた事例も確認されている。
これは裏を返せば、
**「公務だけではキャリアの満足度を保ちにくくなっている」**という現実への対応策でもある。
では、公務員は今から何をすべきか?
①「やりたいこと」を棚卸しする
まずは収益化ではなく、
得意なこと
続けてきた趣味
地域や人から頼られていること
を整理することが重要だ。
制度上も「公務に支障がない」「信頼を損なわない」ことが前提になる。
② 事業計画を“説明できる形”で考える
兼業は自由ではなく説明責任を伴う活動になる。
そのため、
時間配分
収益規模
公務との切り分け
を簡単でも言語化しておくことが、今後の承認プロセスで大きな差になる。
③ 「学び」や「準備」から始める
すぐに開業しなくても、
マーケティングや会計の基礎を学ぶ
小さな実績を作る
テスト的に活動する
といった準備段階は、制度変更前からでも十分に意味がある。
おわりに
今回の兼業規制緩和は、
「公務員も一人の生活者として、複数の役割を持つことを前提にする」
というメッセージでもある。
重要なのは、解禁を待つことではなく、備えること。
制度が始まったとき、動ける人と動けない人の差は、すでに今から生まれ始めている。
(出典:日本経済新聞 )



