【NEWS】働くシニアが増加中|高年齢者雇用安定法改正から4年、カギは「ウェルビーイング」?

働くシニアの存在感が高まる時代へ

近年、60歳を超えても働き続けるシニア層が急速に増加しています。人生100年時代を迎え、定年後も元気に、そして社会とつながりを持ちながら働く人たちが注目されています。こうした中で、シニアがいきいきと働き続けるための「ウェルビーイング(Well-being)」という考え方が、企業や社会において大きなキーワードとなっています。

 

高年齢者雇用安定法の改正とは?

2021年に改正された高年齢者雇用安定法では、企業に対し「65歳までの雇用確保を義務化」し、「70歳までの就業機会の確保」も努力義務として定められました。これにより、多くの企業が定年の引き上げや継続雇用制度の整備に踏み出しています。

改正から4年が経過した今、65歳以降の就業機会をどのように実現するか、企業の対応力や柔軟な雇用施策が問われています。

 

なぜシニアは働き続けるのか?

働くシニアが増える背景には、次のような理由があります。

  • 健康寿命が延び、働ける体力・気力を持つ人が増えている
  • 年金だけでは生活が不安という経済的理由
  • 社会とのつながりや生きがいを求めている
  • 自身の経験を活かし、社会に貢献したいという意識

これらの背景から、「ただ働く」のではなく、「充実感を持って働く」ことが求められているのです。

 

ウェルビーイングとは?

ウェルビーイング(Well-being)とは、単に病気がない状態を指すのではなく、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を指す概念で、世界保健機関(WHO)も提唱しています。

特にシニア世代が就労を続けるうえでは、次の3つの観点が極めて重要とされています:

  • 身体的ウェルビーイング:健康状態や体力に配慮した業務内容、休憩の確保、安全な職場環境など
  • 精神的ウェルビーイング:やりがいや達成感、尊重されているという感覚、ストレス軽減の仕組み
  • 社会的ウェルビーイング:人とのつながり、職場での役割、世代を超えたコミュニケーションの機会

企業側の視点としては、単なる「長く働かせる制度」ではなく、シニアが“心地よく・前向きに”働き続けられる環境づくりが求められています。これには柔軟な勤務形態や、業務負荷の見直し、成果に応じた評価制度、貢献に対する感謝の表現などが含まれます。

一方、働くシニア側も、「健康管理への意識」「他者との良好な関係づくり」「新しいスキルを学ぶ意欲」など、自らのウェルビーイングを意識した働き方が求められるようになっています。

たとえば、70歳で週3日勤務を選びつつ、若手社員の指導にあたるシニア社員のケースでは、「直接的な業績貢献」よりも「間接的な価値創出」が評価される体制が整っており、ウェルビーイングを軸とした活躍の一例といえます。

このように、ウェルビーイングは「長く働くこと」ではなく、「満たされた状態で働くこと」に焦点を当てる考え方であり、シニア就労の質を高める大きなカギとなっています。

 

シニア活躍を支える職場づくりのポイント

シニア世代が活躍する職場には、以下のような工夫が必要です。

  • 柔軟な勤務制度:週3日勤務や短時間勤務、テレワークなど
  • 役割の再設計:プレーヤーから指導・育成役へシフト
  • 安全・健康への配慮:職場環境や業務量の調整
  • キャリア支援:リスキリングや生涯学習の機会提供
  • 承認と感謝の文化:貢献がきちんと評価される風土

 

企業に求められる「70歳現役社会」への対応

高年齢者雇用安定法の改正を機に、国は「70歳まで働ける社会」の実現を目指しています。現在、多くの企業が70歳までの継続雇用制度を整備しつつありますが、形式的な制度整備にとどまらず、「どう働くか」「どう貢献できるか」といった就業の質が問われる段階に入っています。

今後は、人事制度の見直しや職種の多様化、社内研修などを通じて、実質的な支援が求められます。

 

個人にも求められる「働く準備」

働くシニアが増える中で、個人にも準備が求められます。

  • 自分の強みやスキルを再確認する
  • 変化を受け入れ、柔軟に働き方を調整する
  • 新しい分野や技術を学び続ける姿勢(リスキリング)
  • 自分の働く意味や目標を言語化しておく

60代・70代になっても学び、挑戦し続ける人が増えることは、社会全体にとっても大きな財産となるでしょう。

 

公務員にとっての「シニアの働き方」も変わる?

高齢者雇用安定法の改正や定年引き上げを背景に、公務員のシニア世代の働き方にも大きな変革が進んでいます。国家・地方公務員双方で導入されている制度と、自治体レベルでの具体的な事例を紹介します。

再任用制度と暫定再任用制度の仕組み

国家公務員・地方公務員には、定年到達後に再び雇用される再任用制度があり、通常は65歳まで再任用対象となります。さらに定年引き上げ期間中は、65歳まで継続可能な「暫定再任用制度」が適用されます。これにより、公務員は定年後もフルタイムまたは短時間勤務で就業機会が確保されます。
✅ 引用記事 ▶︎ 暫定再任用制度|人事院

神奈川県の再任用・キャリアバンク活用

たとえば神奈川県では、県職員退職後も「神奈川県退職者キャリアバンク」を通じて、第三セクターや民間企業への再就職を支援しています。2023年度には管理職経験者の再就職実績として、第三セクターや民間企業に約90名(うちキャリアバンク経由で32名)が移動しており、公務経験が多様なフィールドで活かされています。
✅ 引用記事 ▶︎ 神奈川県退職者キャリアバンク|神奈川県

呉市のシルバー人材センター連携

広島県呉市では「呉市シルバー人材センター」が、シニア向けにパソコン講座などのスキル教育を実施し、地域での活動機会や短期就業などを提供しています。これは公務員向け再任用とは異なる枠組みですが、地域密着型で学びと就労を両立できる重要な支援モデルです。
✅ 引用記事 ▶︎ 公益社団法人呉市シルバー人材センター

今後の展望と課題

これらの制度により、ベテラン公務員の経験と専門知識を社会に還元する流れが強まりつつあります。ただし、再任用者の評価制度や職責の見直し、若手とのバランス、キャリア相談体制など、組織内の制度設計や意識醸成も同時に求められています。

今後、公務員シニアの「やりがい」と「貢献感」を高め、世代を超えた組織力強化につなげる制度整備が重要となり、その先進モデルは地方自治体から全国に広がっていくことでしょう。

セカンドキャリアの一歩を後押ししてくれるサービスも(PR)

60歳以降の働き方に不安を感じている方や、公務員退職後の再就職先を模索している方には、シニア専門の転職支援サービスを活用するのも有効です。たとえば、50代・60代を対象とした転職エージェント「エイジレスエージェント」では、豊富な求人と丁寧なキャリア相談により、年齢にとらわれない働き方を支援しています。

公務員として培ったマネジメント経験や事務処理能力を活かせる職場を探している方にも適した案件が多く、「もう一度社会で活躍したい」「新しい挑戦がしたい」という想いに寄り添ってくれます。

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まとめ:シニア活躍社会の実現に向けて

高齢者がいきいきと働き続けるためには、制度だけでなく、「心の満足」や「生きがい」を満たす環境が不可欠です。ウェルビーイングを重視した働き方は、シニア本人だけでなく、職場・地域・社会全体にとっても持続可能な未来をもたらします。

企業・行政・個人が一体となり、「70歳現役社会」の実現に向けた具体的な取り組みを進めていくことが、これからの時代に求められるアクションです。

 

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